病院に来ても何もしないで帰る…?フィリピンの医療保険の現状について

Reona Takahashi Uncategorized, インターン生や留学生のブログ, セブ島生活情報, ハルカのいろいろ

こんにちは!語学学校HLCAインターンの高橋です。

 

毎日暑いですが、体調を崩されていませんか?

 

さて、当校では、セブ医科大学付属病院へ病院見学実習に行くことができるオブザーバーシッププログラムを実施しており、現在1名の生徒さんが参加されております。

 

その生徒さんに、見学実習をしていて驚いたことは何ですか?という質問をしたところ、

 

「病気や怪我で病院に来ても、お金を払えないため治療を受けられない患者さんが度々いること。」

 

と言っていました。

 

そのような患者さんはもし何かあっても病院は責任をとれませんよ、という書類にサインをして帰るとのこと。

 

日本の病院では見ない光景だったため、とても驚いたそうです。

 

私もその話を聞いて驚いたと同時に、「フィリピンの医療保険制度はどうなっているのだろう。保険が適応されればそのようなことは起こらないのでは…?」という疑問がわいてきました。

 

そして恥ずかしながら、フィリピンの社会保障制度について詳しく知らなかったことに気が付きました。

 

フィリピンの社会保障制度には、大きく分けて「年金」と「医療保険制度」があります。

今回は、「医療保険制度」にフォーカスして、まとめていきたいと思います!

 

 

【目次】
1.フィリピンの医療背景について
2.フィリピンで多い病気とは?
3.フィリピンの医療保険制度について
4.フィリピンの病院のシステム
5.まとめ

1.フィリピンの医療背景について

まず、フィリピンの医療的な背景について確認してみたいと思います。

 

イメージがしやすいように、日本とともにまとめてみました。(2015・2016年のデータを使用)

(参考:世界銀行 Knoema ワールドデータアトラス

 

フィリピンは出生数が死亡数を上回り続けており人口増加率はここ数年で落ち着いてきたものの、周辺の国と比較すると人口増加率が高い国です。兄弟が5,6人いるのは普通で、知り合いのフィリピン人の方の中には9人兄弟、13人兄弟もいらっしゃいました。(!)

 

平均寿命が68歳ということもあり、65歳以上の人口の割合は日本と比較するとかなり低いです。

 

平均寿命、乳児死亡率(Infant Mortality Rate)、妊産婦死亡率(Maternal Mortality Ratio) 、及び5歳児未満死 亡率(Under-5 Mortality Rate)はいずれも改善傾向にあるとはいえ、近隣諸国と比較しても状況は 悪く、依然、改善の余地があると考えられています。

 

2.フィリピンで多い病気とは?

 

三大死因は、心疾患、血管系疾患、悪性新生物となっており、理由としては食生活が考えられます。

 

フィリピンの人々は、甘いものが大好きです。学校の講師の方がコーヒーを入れている時も、ブラックでは飲まず、砂糖とクリーマーを何杯も入れている光景を見かけます。

 

私はコーヒーよりも紅茶のほうが好きなのでよくお店でアイスティーを買うのですが、大抵すでにかなり甘く味付けされています。スパゲティや混ぜご飯のような料理も砂糖を入れるのが普通なので、フィリピンの人々は日ごろからかなり糖分を摂っていることが分かります。

 

加えて、塩分濃度が高い味付けと、高カロリーかつ栄養価が不十分な食生活の結果として、心臓病、癌や高血圧、糖尿病などの病気になりやすい人が増加しているといいます。

 

また、フィリピンの人々は、食べること自体が大好きです。ITパークの中だけではなく、どこのショッピングセンターへ行っても、数えきれないほどの飲食店が並んでいます。

 

街角には屋台もたくさんあり、不衛生な屋台で売られている食べ物や飲み物は、下痢、A型肝炎、E型肝炎、コレラ、食中毒や腸チフスなどの感染症の原因になっています。

 

 

3.フィリピンの医療保険制度について

 

公的医療保険制度を運営しているのは、 フィリピン健康保険公社(Philippine Health Insurance Corporation(PHIC):フィルヘルス)です。フィルヘルスは年金制度を運営している組織と同様に、政府管轄下の機関です。

 

財源は、労使双方の負担による社会保険料(働いている人と、会社が半分ずつ負担しています)、投資活動による資産運用に加え、公的支出(保健省及び地方自治体)から成り立っています。

 

会社に勤めた時点で、働いている人の分の保険料は自動的に給料から引かれているそうです。

 

基本的に、入院医療に係る費用(室料、食費、薬剤費、 検査費、診療料など)及び外来医療(薬剤費、検査費、診 療費、予防サービス、救急・移送サービスなど)に対して保険料が支払われます。

 

(引用:厚生労働省 各国にみる社会保障施策の概要と最近の動向     )

 

給付は現物給付方式であり、医療費のうち、傷病の程度や医療施設のレベルに基づいて決められた一定額 が、フィルヘルスから医師又は病院に償還払い(費用をいったん全額支払い、その後自治体などに申請して払い戻しを受けること)され、 それを超える部分については患者の自己負担となります。

 

そのため、大きい手術や高額な医療を受けるときには自己負担がとんでもない額になってしまうこともあるため、富裕層はフィルヘルスとは別に民間の保険に加入している場合もあるそうです。

 

法律上は、公的医療保険制度に全国民の加入が求められています。しかし実際には十分ではなく、ある文献では加入率は70%との情報もありますが、明確には把握されていないのが現状です。

 

収入が少ない家庭では、日々の生活で精いっぱいで、保険料を払うことができず加入できません。まず今日を生きることが重要だからです。

 

フィリピンの貧困層は、保健・医療面において厳しい状況におかれています。所得下位 40%層の貧困世帯による医療機関へのアクセス状況を見ると、全体的に貧困層で医療機関を利用している層は少なく、良くても30%台の後半にとどまっているといいます。

 

フィルヘルスより「貧困」 の指定を受けた者については、「貧困プログラム(Sponsored Program)」により、保険料を国と地方自治体が分担して払ってくれるという制度もあるそうですが、加入率は変動が大きい上、正確な加入率の把握は十分ではないそうです。

 

しっかりとこのようなプログラムが行き渡っていれば、生徒さんが病院でみたような光景も起こっていないはずです。

 

HLCAの先生の知り合いの中にも、父親が医療費を払えず手術をできず亡くなった方や、病院で亡くなった家族の遺体を引き取るために更にお金の支払いが必要だった方などがいたそうです。

 

せっかく医療保険というシステムがあるのに、それが必要な人々に十分に機能していないという印象を受けます。

 

4.フィリピンの病院のシステム

 

フィリピンの病院はオープンシステムという方式になっています。

 

日本では、全体の受付があり、そこで会計をしたり受診する科を案内されたりしますよね。お会計も受診後にまとめて支払うと思います。

 

しかしフィリピンは支払い方法が独特で、医師、各種検査室がそれぞれ会計場所を設けており、かつ前金制です。患者さんは受診したい科のところへ行き、診察の前に受診料を医師へ直接支払います。

 

検査を受けるときは、検査内容ごとにそれぞれの専用会計場所で一つ一つ支払い、検査ごとに先に支払いを済ませないと検査を受けることができません。

 

まるでショッピングモールのようです。

 

また、入院となった場合には、入院前に前払いの保証金(約4~10万円程) を支払わなければ入院手続きもできないシステムになっているのです。

 

そのため、お金を持っていない人は、そもそも検査を受けることも、診察を受けることもできません。病院に行っても、何もサービスを受けることができないのです。

 

5.まとめ

・フィリピンの三大疾患は、心疾患、血管系疾患、悪性新生物であり、食生活が関連している

・フィルヘルスという機関が公的医療保険制度を運営しているが現状把握が不十分で、カバーしきれていない現状がある

・フィリピンの病院は部門ごとに前払い制で、お金がないと医療が受けられない現状がある。

 

フィルヘルスや年金を運営している政府団体のHPを見ると、財源も安定しており、しっかりとしたシステムができているような印象を受けます。

 

しかし実際にはセブの中心地などの経済の発展が目覚ましい一方で、スポットライトが当たらない部分も多く存在していることが分かりました。

 

HLCAにいると、多様な環境やそこで暮らす人々のことについて考える機会が多くあります。

 

アンテナを常に張って、色々なセブの面を知っていきたいと思います。

 

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